セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関(WHO)が定義しています。
セルフメディケーションにおいて、漢方薬は以下のような理由で役立ちます。
- 「未病」の改善が得意
「なんだか調子が悪いけれど、病院に行くほどではない」という状態を、東洋医学では「未病」と呼びます。漢方薬は、この未病の段階で体のバランスを整え、本格的な病気への進行を防ぎます。 - 体全体を整えるアプローチ
西洋薬が「熱が出たら解熱剤」のように特定の症状を抑えるのに対し、漢方薬は体全体のつながりを重視します。例えば、風邪の治療でも、その人の体力や冷えやすさといった「体質(証)」に合わせて薬を選びます。体が本来持っている「治る力(自然治癒力)」を高めることを目指します。
3.多様な不調に対応
頭痛や軽い風邪だけでなく、冷え性、肩こり、疲れやすい、ストレスで胃が痛いといった、現代人が抱えやすい慢性的な不調にも
幅広く対応できます。
また、漢方薬は「今ある不調」を抑えるだけでなく、将来的な生活習慣病を予防するアプローチとしても非常に有効です。
- 「巡り」を改善し、内面から整える
漢方では、血液(血)や水分(水)、エネルギー(気)の巡りが滞ることが病気の原因と考えます。例えば、血行を良くしてドロドロ血を防いだり、水分代謝を促してむくみや肥満を解消したりすることで、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病へつながるリスクを元から減らしていきます。 - 太りやすい体質の改善
生活習慣病の大きな要因となる「肥満」に対しても、漢方は有効です。単に食欲を抑えるのではなく、内臓脂肪を燃焼しやすくしたり、便秘を解消してデトックスを促したりと、体質そのものを太りにくい状態へ導く手助けをします。 - 自律神経を整え、ストレスから守る
生活習慣病は、ストレスや睡眠不足も大きな要因です。漢方薬には、高ぶった神経を鎮めたり、質の良い睡眠を促したりする処方が多くあります。心のバランスを整えることで、過食や不規則な生活を防ぎ、結果として病気の予防につながります
「まだ病気ではないけれど、健診の結果が少し気になる」という段階から、自身の体質に合った漢方薬を取り入れることは、数年後の健康を守るための賢いセルフケアとなります。


